11 嫌いじゃないと言えなくて[side 旭]

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 私はドアノブを回して、玄関へ入る。 「ただいま……」  私が小さく声を出すと、リビングからホープが顔を出した。 「旭、おかえり」 「ホープ……。お父さんは?」 「茜とお母さんとでかけてる。それより……どこ行ってたの?」 「……友達のところ」  私が短く答えると、ホープは不満げな顔をする。 「どうかしたの?」  不思議に思った私が尋ねると、ホープは訝しげな視線を向ける。 「ほんとに、友達の所?」 「え…………?」 「ボク、見たよ。旭が男子に頭撫でられてるの」 「っ…………!?」  私と聖夜が話してるの、見られてたんだ…………。てことは、もしかして、泣いてる所も…………? 「どこまで、見てたの……」 「どこまでって……全部」 「全、部…………。じゃあ、話してることも、聞いてたの……?」  もし、家族であるホープに聞かれていたとしたら。家が息苦しいことが知られていたら…………。  ホープにも、もしかしたら、それを聞いた他の家族にも……嫌われてしまう?  っ…………そんなことになったら、私、どうしたら………………。 「……心配しなくても、ボクには聞こえてない」  ホープはそう言ってため息をつく。 「ボクには話せないこと、あの人には話せるんだね」 「っ……あ……ごめん…………」 「別に。怒ってないし。ただ…………モヤモヤしてるだけだから」  ホープはそこまで言うと、私を悲しそうな目で見つめた。 「旭……ボク達(かぞく)のこと嫌いなんでしょ」
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