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私はドアノブを回して、玄関へ入る。
「ただいま……」
私が小さく声を出すと、リビングからホープが顔を出した。
「旭、おかえり」
「ホープ……。お父さんは?」
「茜とお母さんとでかけてる。それより……どこ行ってたの?」
「……友達のところ」
私が短く答えると、ホープは不満げな顔をする。
「どうかしたの?」
不思議に思った私が尋ねると、ホープは訝しげな視線を向ける。
「ほんとに、友達の所?」
「え…………?」
「ボク、見たよ。旭が男子に頭撫でられてるの」
「っ…………!?」
私と聖夜が話してるの、見られてたんだ…………。てことは、もしかして、泣いてる所も…………?
「どこまで、見てたの……」
「どこまでって……全部」
「全、部…………。じゃあ、話してることも、聞いてたの……?」
もし、家族であるホープに聞かれていたとしたら。家が息苦しいことが知られていたら…………。
ホープにも、もしかしたら、それを聞いた他の家族にも……嫌われてしまう?
っ…………そんなことになったら、私、どうしたら………………。
「……心配しなくても、ボクには聞こえてない」
ホープはそう言ってため息をつく。
「ボクには話せないこと、あの人には話せるんだね」
「っ……あ……ごめん…………」
「別に。怒ってないし。ただ…………モヤモヤしてるだけだから」
ホープはそこまで言うと、私を悲しそうな目で見つめた。
「旭……ボク達のこと嫌いなんでしょ」
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