11 嫌いじゃないと言えなくて[side 旭]

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「っ…………!」  ホープの一言に、胸が貫かれたような気持ちになる。 「そ、そんなこと…………」  そんなこと、ない──。そう言おうとしたけれど…………。  本当に、あなたは家族が好きなの?  家族が信じられないんでしょ?  それなのに……家族が好きだって言えるの?  そんな声が聞こえて…………何も、言えなかった。 「…………そう。やっぱりね」  ホープは辛そうに笑いながら、私から目を逸らした。 「ボク、この家に来ない方が良かったね」 「っ……そんな…………」 「ボクがいるから、旭は笑顔になれないんでしょ?」  ホープが苦しそうに吐き出す。辛そうな彼を私は何も言わずに見ていることしかできない。 「ボクが嫌いだから……旭は、ボクの気持ちに気づいてくれないんだよね?」  ホープの声が潤む。表情が切なく歪む。彼の瞳から、涙が1滴こぼれ落ちた。  何か言わなきゃいけないのに、何も言葉が出てこない。自分のことでいっぱいいっぱいだった私には分からなかったんだ。ホープが抱えてた気持ちが…………。 「ホープ…………ごめん、私…………」 「っ…………いいよ。ごめん。ボクが変なんだ」  ホープはそう言うと、黙って2階に上がって行ってしまった。
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