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「っ…………!」
ホープの一言に、胸が貫かれたような気持ちになる。
「そ、そんなこと…………」
そんなこと、ない──。そう言おうとしたけれど…………。
本当に、あなたは家族が好きなの?
家族が信じられないんでしょ?
それなのに……家族が好きだって言えるの?
そんな声が聞こえて…………何も、言えなかった。
「…………そう。やっぱりね」
ホープは辛そうに笑いながら、私から目を逸らした。
「ボク、この家に来ない方が良かったね」
「っ……そんな…………」
「ボクがいるから、旭は笑顔になれないんでしょ?」
ホープが苦しそうに吐き出す。辛そうな彼を私は何も言わずに見ていることしかできない。
「ボクが嫌いだから……旭は、ボクの気持ちに気づいてくれないんだよね?」
ホープの声が潤む。表情が切なく歪む。彼の瞳から、涙が1滴こぼれ落ちた。
何か言わなきゃいけないのに、何も言葉が出てこない。自分のことでいっぱいいっぱいだった私には分からなかったんだ。ホープが抱えてた気持ちが…………。
「ホープ…………ごめん、私…………」
「っ…………いいよ。ごめん。ボクが変なんだ」
ホープはそう言うと、黙って2階に上がって行ってしまった。
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