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私は……どうしたらいいか分からず、その場に立ち尽くしてしまう。
ホープの言葉が胸につかえる。私は、家族が嫌いなのか…………今まで、考えないようにしてきた現実が突きつけられて、心が渦に囚われる。
「私は、家族が、嫌いなの…………?」
声が震える。呼吸が浅くなる。嫌な動悸がする…………。
「い、嫌……!こんな……こんな気持ち、間違ってるよ……っ」
間違ってる……そう、間違ってるんだ。こんな汚れた気持ち、おかしいんだ。私は…………変、なんだ。
「っ…………私は、家族が、嫌いなんかじゃ──」
私がそう声に出した時。
「旭姉様……?」
玄関のドアが開いて、茜達が帰ってきた──。
「旭姉様は…………家族が、嫌い…………?」
茜の手に持っていたトートバッグが、床に落ちた。
「っ…………!あ、かね…………」
「旭…………」
気づいたら、茜の後ろにお父さんと知江さんが立っていた。2人は、驚いた表情で、こちらを見ている…………。
「あ……ち、ちがう、の。わ、私…………」
そうじゃないって言わなきゃ。家族が好きだって答えなきゃ。そう、思うのに……
「っ……はっ……はぁっ…………」
息が上手く出来なくて…………。
「旭っ……!」
お父さんの声が聞こえたのを最後に、視界がぐらりと揺れて……。
気づいたら、真っ暗になっていた…………。
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