11 嫌いじゃないと言えなくて[side 旭]

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 私は……どうしたらいいか分からず、その場に立ち尽くしてしまう。  ホープの言葉が胸につかえる。私は、家族が嫌いなのか…………今まで、考えないようにしてきた現実が突きつけられて、心が渦に囚われる。 「私は、家族が、嫌いなの…………?」  声が震える。呼吸が浅くなる。嫌な動悸がする…………。 「い、嫌……!こんな……こんな気持ち、間違ってるよ……っ」  間違ってる……そう、間違ってるんだ。こんな汚れた気持ち、おかしいんだ。私は…………変、なんだ。 「っ…………私は、家族が、嫌いなんかじゃ──」  私がそう声に出した時。 「旭姉様……?」  玄関のドアが開いて、茜達が帰ってきた──。 「旭姉様は…………家族が、嫌い…………?」  茜の手に持っていたトートバッグが、床に落ちた。 「っ…………!あ、かね…………」 「旭…………」  気づいたら、茜の後ろにお父さんと知江さんが立っていた。2人は、驚いた表情で、こちらを見ている…………。 「あ……ち、ちがう、の。わ、私…………」  そうじゃないって言わなきゃ。家族が好きだって答えなきゃ。そう、思うのに…… 「っ……はっ……はぁっ…………」  息が上手く出来なくて…………。 「旭っ……!」  お父さんの声が聞こえたのを最後に、視界がぐらりと揺れて……。  気づいたら、真っ暗になっていた…………。
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