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「あれ?黒羽さん?まだ帰らないんですか?」
白鳥は窓際でまた外を眺めている黒羽に声をかける。
「まぁちょっと。予定があってね。あなたこそ帰らないのかしら?」
「そうですね。僕も予定があるんですよ」
白鳥はにこやかにそう返答する。
「本当にあなたは変わっているわね。あなただけよ私にそんなに気楽に話しかけてくるのは」
「みたいですね。さっきも黒羽さん、折角お礼を言おうとしてたのに、あんなに謝ってこられたら居心地悪いですよね。ふふっ」
軽く笑う白鳥に視線を移す黒羽。
「あなたは変なところで観察眼があるというか、余計な事を気づくというか、少し怖いまであるわよ」
「そんな~僕が怖いだなんてなんの冗談ですか。こんなに心優しい奴他にはいないですよ」
「そう」
「いや、一応冗談のつもりだったのですが、そう真面目に返されてしまいますと~」
白鳥は右手人差し指で右頬をポリポリと軽く掻いて照れを誤魔化す。
「そんなことよりあなたはいいの?あんなに女の子に声をかけてもらえてるのに、付き合いが悪い奴だと思われるわよ」
「ありゃりゃ。痛いところをつきますね。でも、さっきも言った通り今日は予定があるんですよ」
「ふ~ん。予定があるのに私とダラダラと会話してていいわけ?嫌がらせだとしたらたちが悪いわ」
「そんなそんな。嫌がらせなわけないですよ。それに予定はここに居ることなんです。ここで待ってるように言われているので」
「あら奇遇ね私も全く同じ理由よ」
「わぁそれはそれは本当に奇遇ですね。案外同じ理由かもしれませんよ。アハハ」
白鳥の乾いた笑い声がニ人だけの教室に木霊する。
「大丈夫よ。安心しなさい。きっと同じ理由じゃないでしょうから」
「ほほう。そう言いきるだけの根拠があると言うんですね?」
「そうよ」
黒羽は間髪いれずにそう言いきった。
「そうですか。そうですか。そこまで確固たる自信があるんですね。まぁ、確かにそうですよね~。まさかオカルトの類いで黒羽さんが残ってるわけないですもんね~」
「!?」
その白鳥の言葉に、ガタッと椅子を鳴らして立ち上がる黒羽。
「あれ?どうかされましたか?」
「どういうこと?オカルトってもしかして?あなたも南條花梨繋がりじゃ?」
「なぁんだ。やっぱり奇遇でしたね」
「なんであなたも?どういうことよ?」
黒羽は眉間に皺を寄せると華麗な動きで再び腰をおろした。
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