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城に出入りする人である可能性が高い、とレイヴァンが言葉を紡いでマリアに向き直る。視線を見つめ返しながらマリアは、凜然とした瞳でくちびるをひらいた。
「確執があるのだろうか」
言葉にして青い瞳がゆらいだ。彼女の心には、不安が募っていることだろう。不安を包み込むように黒い瞳が細められた。
「そうかもしれません。けれど、ないかもしれません。俺は、あなたが心配することなど何もないなどとは申しません」
黒い騎士の体がゆれて、片膝が地面に付いた。
「どうか、あなたが思うままに」
さきほどとは打って変わって、低い位置にいるレイヴァンの顔をマリアは見つめた。蒼穹の瞳に光が産まれてレイヴァンに笑顔をこぼした。
「まだ何一つかえせないけれど、わたしの臣下でいてくれてありがとう」
言葉を紡いでマリアは、“王子の表情”にかわると告げた。
「わたしは、何も知らぬままの阿呆でいたくはない。力を貸してくれるだろうか」
「あなたの仰せのままに」
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