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「おひめさま?」
唐突に幼い声がひびき、レイヴァンはあわててマリアから離れるとフィーネが中庭へ出ていた。此度の夜会には出ていないから、服装がいつものワンピースだ。
「フィーネ、どうかしたの?」
マリアが尋ねると、フィーネのうしろからレジーとジュリアもあらわれた。どうやら、マリアをさがしていたらしい。
「そろそろ、夜会に戻って欲しいって陛下が」
三人の代表してレジーがつげれば、マリアはつかれた笑みをうかべて「わかった」と答えた。正直、夜会に戻るのは気が重いのだ。
「マリア、つかれてる?」
レジーが無表情で問いかける。レジーには嘘が通らないから、マリアは素直にうなづいた。
「実はね、夜会に出たことがないから疲れてしまって」
それに継承者の証である首飾りが砕けていたことのほうが、気になっていたのだ。
「それでしたら、陛下に申して姫様を休ませてもらうよういいましょうか」
「いや、主役であるわたしが抜けては意味がないだろう。大丈夫だよ」
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