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「おお、マリアにレイヴァン。二人とも、戻っていたのか」
言った後、小声でベルク公爵閣下が、ロイス侯爵が不正を行っていると言い出したらしいことを教えてくれた。どうやら、黒いヒゲの男がベルク公爵でやせた男がロイス侯爵と言うらしい。
「レイヴァン、二人をとめてもらえないだろうか」
貴族同士のいさかいに介入するのは、どうも嫌なのかレイヴァンは微妙な顔をする。王族に次ぐ地位である正騎士長であるため、貴族に口出ししても問題のない身分であるが、気が乗らないのだろう。ひとつ、息を吐き出して何か言おうと口を開いたとき。
「お二人とも、いかがなさいましたか」
場に似つかわしくない柔らかい声がひびく。うすい緑色のドレスを纏ったディアナがあらわれたのだ。そして、二人に笑顔を向ければ二人して恐縮し頭を下げる。
「これはこれは、ディアナ閣下。お見苦しいところをお目にかけてしまい、申し訳ございませんでした」
うったえを起こしたベルク公爵が我先にとあやまった。表情には、あせりが浮かんでいる。
「まさか、あなた様がいらっしゃるとは思わず」
「あら、私がいなかったら何をするおつもりだったの?」
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