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「皆、申し訳ない。正当王位継承の儀はここで終わらせてもらう。どうやら、神官殿が急遽、こちらへこられなくなったらしい」
国王がつげれば、貴族達の声もやんだ。なにかあったのだろうかとマリアが小首を傾げていると後ろでソロモンがつぶやいた。
「神官がこのような大切な日に来れないというのは、おかしい」
「ソロモン、わかってて言ってるだろう。理由は別のところにある」
レイヴァンが言うには、神官は城に来ているらしい。朝にはすでに来ており、あいさつに行ったそうだ。
「ならば、もうひとつ可能性があるとするならば……」
レイヴァンとソロモンの会話に耳を側立てている間に国王は玉座に座り、赤いカーペットの上を貴族達が我先にとあいさつをしていた。どうやら、どの親も自分の息子と婚姻を結ばせるのに必死のようだ。娘しかいない貴族はさっさとあいさつすれば去ってしまうが、息子を持つ親たちは息子をアピールすることに必死だ。息子自身は、最低限の礼儀をわきまえていたり、嫌そうな表情を浮かべていたりと様々であるが……。
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