あめよ ふれ

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でも、今までてるてる坊主なんて作ったことがない。だからわたしは沙耶ちゃんに作り方を教わることにした。 沙耶ちゃんは「いいよ!」って意気込んでおうちに来て教えてくれた。 「まずはティッシュが必要なの。輪ゴムとペン。あ! ヒモもだよ!」 「ママに出してもらうね」 「ダメ! 自分で用意しなきゃダメなんだよ? 美桜ちゃんはお願いをするんでしょ? だったら全部自分でやらなきゃダメなんだ。それから、作ってるところを大人に見られるのもダメ」 そうなんだ? そういうものなんだ? 沙耶ちゃんは心のなかでお願いをしながら作るのがコツなんだと教えてくれた。 ティッシュはあるのよね。自分のお部屋に。ペンもある。うーん、ないものは…… わたしは、ママがよく触る棚を開けて調べてみる。 「ヒモと輪ゴムがないな。どうしよう」 「なかったらできないよ! それじゃできない」 それは困る。どうしよう。 「あ! もしかしたら台所にあるかも!」 ママが使いかけのパン粉に輪ゴムをかけたりしてるのを見たことがある。私はキッチンの収納棚へと一目散。 「やだ、どうしたの? 美桜」 ママがお皿を拭きながら驚いた声を上げる。 「なんでもない。ママ、この輪ゴムちょうだい」 「いいわよ? でも何に使うの?」 「んー、秘密」 「沙耶ちゃんと何か作ってるのね? 後でお部屋におやつ持っていくからね」 おやつ? だめだ。 誰にも見られちゃいけない。ママに見つかるまでにてるてる坊主を完成させないといけない!
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