8. 怒り

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 びっくりして僕は父を見るが、「いいから、仏間に行こう」と言うので、父に従った。  何が起きたのか、心配しながら祖父を待った。    やがて祖父はハンゴンサマを玄関まで見送って、仏間にやって来た。顔が真っ青だった。 「どうしたんだ? 親父」  父が尋ねた。 「酒がいつもと違う、安い酒を飲ませるのかとお怒りだった」    僕はあっと思った。酒屋の店主が息子さんに代わっていた。上等な酒を持ってくるのを渋ったのではないだろうか。 「何もないといいけれど」  母が言った。 「いや、何もないわけはなかろう」  祖父が沈痛な面持ちで答えた。  次の朝、母の叫び声で僕は起こされた。慌てて両親の部屋へ行くと、父が眠っていて母がその体を泣きながらさすっていた。  父は、既に冷たくなっていた。  酒屋の息子も同じように亡くなっていたことを、あとで知った。  二人とも病死と診断されたが、そうではないことはわかっていた。
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