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「残念だが、行かせられない」
夜、父と祖父が揃ったところで、父に言われた。
「なんで?」
高校受験に向けてこの夏は勉強一色だ。一晩位、友達と夜遊びで羽目を外したかった。
「ハンゴンサマをお迎えしないといけない」
「ハンゴンサマってなんなのさ? 説明してくれなくて、お迎えしろってだけで、納得できるわけないじゃないか!」
僕は反論した。
「今年のハンゴンサマが終わったら、お前に話すつもりだった」
黙っていた祖父が口を開いた。
「今話してよ」
僕は食い下がった。
「いや、駄目だ。今話せば、お前の動揺がハンゴンサマに伝わる。ハンゴンサマに隙を見せては危険だ。いいか、何もなかったように、今年もいつも通りにするんだ」
祖父はそう言ってから、さらに続けた。
「お前の友達も、きっと今頃、親に駄目だと言われている。ここには、ハンゴンサマの日は外に出てはいけないという掟がある。諦めろ」
祖父の言葉で、この話は終わった。
翌日、友達に確認したが、やはり皆、その日だけは外には出せないと親にきつく言われていた。
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