雨の日の浴衣

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雨の日の浴衣

 雨で溶ける浴衣を手に入れた。エコな浴衣だ。エコなのか?その浴衣をあの子に贈ろうか悩んでいる。  いや、贈れるわけがない。でも捨てられない。  考えて適当にほっぽった。  あの子に花火に行こうと誘われた。  その時に浴衣が見つかり持っていかれてしまった。 「これ着て行ってあげよう」  あの子の言葉がつらい。怖い。  まあ花火だから問題ないだろう。  雨が降ったら中止だから正直に話そう。  市のイベントだから中止だと払い戻しなしで丸損だが仕方ない。市だと潰れないからイベント中止でも払い戻しなしって軽いホラーよね。  天気予報を睨む日々が続く。面倒だから雨になれ。自分の馬鹿さが嫌になる。  当日はいい天気で暑かった。少し残念かなとか思ったりしたりする。  汗が止まらない。ふとあの子を見るが変化はない。  当たり前だな。 「ミストシャワーあるよ」  あの子がそう言うと走って行く。追いかける。  あの子を見ると浴衣に助平という文字がうっすらと浮かび上がってきたのだった。
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