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「あれっ……
あの自転車に乗ってるハチマキとタスキしてる人は?」
「あぁっ選挙の立候補ですかねぇ……」
「渡辺圭介?
えっ…渡辺さんだ!」
「渡辺さーーーーん!」
「あっ……
若菜さんじゃないですか?何でこんな所に…?」
「今日、門司港ホテルで発展途上国での現地との交流の話を講演で話すんですよ。
あっ……
よかったら、ご一緒に講演に参加しませんか?
渡辺さんも講演に来て下さった方に、青年海外協力隊の話もしてくれたら助かるんですが……
一人じゃ時間を持たせる事が苦しくて。
それに、選挙のアピール存分にして下さい。私も応援します。」
「本当ですか?
私なんかの話で……」
「じゃ、決まり!
良いよね、前田マネージャー」
「島崎本部長に報告しないと……」
「大丈夫!茜に連絡しとくから!
茜が言ったら、本部長は嫌とか言わないから。」
「そうですか?
じゃお願いします。」
若菜は茜に連絡を入れて、私との再会にビックリしていたそうだ。
「若菜だけズルいよ!
私も会いたかったなぁ……
渡辺さんに…
仕方ないなぁ、伝えておくわ。」
「時間がないわ!急ぎましょ。」
「あの、チャリは?」
「乗せられないからダッシュで付いていて!」
「は、はい。」
私は必死に付いて行き、門司港ホテルの入口にたどり着いた。
「渡辺さん、えらい汗ね!
背広まで、びしょびしょじゃん。
これじぁ、講演に出れないね……
どうしよう…
そうだ、前田マネージャー、渡辺さんと体型が同じぐらいだね!
背広貸してあげて!」
「えっ……
私の服は?
前田マネージャーは、トイレでも隠れてて!」
「えっ…」
「すみません。私の為に…」
その時、若菜の強引な性格を私は気づかず、私に対しての優しさと勘違いしていた。
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