赤と白 第二章 1

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 六・恋?     ホテルの会場は、溢れんばかりの客や報道陣。  若菜が壇上に上がり、マイクを握るとフラッシュの嵐だ。 「皆様、ただいま〜〜  久しぶりに門司に帰って来たよ。  今日は、門司で生活していた話とか、福岡歌劇音楽学校の話、オーディション、ブロードウェ公演、そして発展途上国に歌劇Y&Aとして行った出来事を、たくさん話すね。」    私は、政治家を目指していたが、若菜さんは人に訴え掛けて喋れる会話は素晴らしく、誰もが若菜さんに注目した。  私とは格段に人を惹きつける力が違い過ぎる。  私も知らず知らずのうちに彼女の魅力に吸い込まれていった。   「そして、発展途上国に向かった歌劇Y&Aは、最初の土地ネパールのガーラ村にたどり着いたの。  そこには、私達が生活している便利な物なんて何も無かったわ。  でも、彼らは私達以上に温かさがあった。  そこで、たまたま青年海外協力隊の一人の日本人に出会ったの  その人は、現地の人達にボランティアで農業指導員をしながら日本のお米を作ったり、お花畑で花を栽培したりしていたわ。  彼は、活動期限が満了して日本に帰った事は聞いてはいましたが、まさか、こんな所で再会出来るとは思わなかった」  場内は騒めいた。 「その人は隣にいる方、渡辺圭介さんです。  自己紹介して貰っても構いませんか? 渡辺圭介さんです。」    
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