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八・番外編(茜の恋)
話は、さかのぼるが茜の恋の話を始めよう。
歌劇Y&Aは、六カ国目の南スーザンに向かった。
そして、現地のヌエル民族と出会った。
二人が旅した中で一番過激で危ない村だった。
部族同士の争いや食料不足。
ジミー・ブラウン達は、決して食料を支給せずに彼らに接した。
それが、お互い対等に居られる条件だからだ。
何処の国も最初は警戒される。
銃やヤリで殺されそうになり、何回も逃げ出した事もある。
しかし、この村のヌエル民族は、ヤバかった。
初日からヌエル民族から石を投げられたり荷物を盗まれたりで、心を開いてくれない。
その時、茜が南スーダンのヌエル民族の歌【African style】を熱唱した。
次第にヌエル民族が集まり、茜の歌で皆んなが踊り出し、ジミー・ブラウン率いる歌劇Y&Aのスタッフを受け入れてくれた。
その中でも、一番世話をしてくれたのはアラザンだった。
アラザンは、ヌエル民族の青年リーダーで次期村長候補の二六歳の青年だ。
アラザンには不審に思ってるヌエル民族の仲介役になってもらい、村長に紹介してもらった。
その夜、ヌエル民族から盛大な歓迎を受けて、青年団による民族ダンスを観せてもらった。
その中心に居たのもアラザンだった。
茜は、何故か胸が張り裂けそうなくらい、トキメキを感じた。
その後、歌劇Y&Aの舞台を行った。
初めて観る歌劇、演劇にヌエル民族も一緒に踊り出し熱い夜の宴は終わった。
茜はアラザンを誘い、川が流れる誰も来ない静かな場所に行き、熱いキスを交わした。
もちろん、その時、島崎部長は全く知るよしもなかった。
車でヌエル民族に別れを告げて出発する時、アラザンは車が見えなくなるまで最後まで手を振って茜も泣きながらアラザンに応えていた。
そして二人は連絡を取り合い、南スーダンを後にした。
茜にとっても、初めての恋だった。
「茜、どうした?今回も、いつもと同じ別れだぞ!」
しかし若菜だけは、気づいていた。
恋って、いいなぁ…
日本に帰り、アラザンからの大量の恋文が島崎家に届いていた。
♡、♡、♡、♡ばかりの恋文だ。
「何だ?コイツ……」
「茜、アラザンって誰だ!」
「あっ……
南スーダンのアラザン様よ!」
島崎本部長は、その時、初めて二人の関係に気がついた。
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