赤と白 第二章 1

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ジミー・ブラウンが困った顔をして話し出した。 「実は、政府が打ち出した、週休三日制をどんな職業でも導入しようとしている。  もちろん、私達の福岡歌劇団の練習も週休三日制になってしまう。  世界三大公演も週休三日制が導入されたら公演日程も狂ってしまう。  政府は、ルールを守らないと莫大な違約金を考えてるみたいだ。」  若菜は、その時、公約の恐ろしさを知った。  休みが増えれば、全員の職業が楽になるんじゃないんだ……    きっと、似たような人だって沢山いるはず……  ジミー・ブラウンは、机を叩いた。 「歌劇やショーを行うのは人間だ!  ロボットなんかにショーは出来るか!」    世間も少しずつ、気づき始めた。  企業では、納期の遅れが問題になり、農業では、収穫が追いつかず心配されていた。    国民福党内では企業との交渉で慌ただしくなっていた。  「早く、産業ロボットで大量生産に入れ!」 「企業では早くも週休三日制を実験していて、ロボットの大量生産は追い付けない状態だそうで……」 「何だと……」  私は、頭を抱えた。 「企業に人員を増やして、フル稼働で生産するように働き掛けて下さい。  国から多少の補助を出すと……」 「この国の財源は底をついてます……」 「いやっ……  必ず、週休三日制を違反して違法で働く奴が出てくる。  そこから違約金を取ろうじゃないか!」 「なるほど……  しかし、原口官房長官が何と言うか?」 「私が総理大臣だ!  この国のトップは私だ!」 白と赤 第二章 1 完
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