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二・まさか……
翌日、広い広場にグルン族が集まってきた。
二人は、予行練習をしていたが、何故が調子の上がらない歌劇Y&Aの二人。
「お前達、どうしたんだ!
全然、いつもらしさが無いぞ。」
「茜、どんな大きな舞台より緊張する。
何でだろう……」
私は大学時代から、あまりテレビを観たり芸能など詳しくなかったので二人が今、世界の注目を集めている歌劇Y&Aなんて知る余地もなかった。
「島崎さん、あの二人、コスプレみたいな服装ですが何かの仮装パーティーでも行ったんですか?」
「仮装パーティー?
渡辺君、面白い事を言うねぇ。
君、知らないの歌劇Y&Aを……」
「有名人なんですか?」
「たまげた!
わざわざ、こんな異国の山奥に来なくても、知らない日本人だっていたんだ。」
島崎さんは有名人と言っていたが、こんな、へんぴな所に有名人が来るとは私は信じなかった。
しかも、たった七人で……
【圭介、あの二人、凄いカラフルな衣装だね!
日本人の女の人って皆んなあんな衣装着ているの?】
【リン、俺も初めて見た。
あんな派手な人いないよ…】
そして二人の歌劇のショーが始まった。
やっぱり、若菜も茜もいつもの演技が上手くいかない。
最後まで調子が出ないまま、ショーは終わった。
【圭介、グルン族の方がダンス上手いと思うよ。】
【そうだね……リン。】
グルン族は、それなりに喜んでくれて、私も素人より歌も踊りも上手かったので楽しませてもらった。
【カメラマン、今日の収録は撮ったのか?】
【はい!全て収めてます。】
【今日のは使えん。
全て廃棄しろ。】
【は、はい。了解。】
「若菜、なんだろう……
最初は、あの人を意識したけど舞台に立てば、そんな事、気にならないはずなのに……」
「そうなのよ…」
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