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三・彩月との関係
「何故、二人は、沙月の事を……」
まず、若菜が自分の過去を話し出した。
「私は、門司に住んでいたんだけど、おばあちゃんの誕生日に、かすみ草をプレゼントしたの。
のちに、直ぐに分かったわ……
匂いを嗅ぐと、性格が変わるって。
気が強かった私は、女らしくなった。
数時間、約三時間だね。
信じられないと思うけど……
そして、自分が中学二年の時に沙月は、折尾に転校して来たの。
すごく清楚な子だったわ。
私は、おばあちゃんが大好きだった福岡音楽学校を目指して、沙月も応援して歌劇に入る事をいろいろ教えてくれたわ。
そして私は、福岡音楽学校に受かった日から沙月は、いなくなった。
いなくなったと言うより、沙月の存在自体が無くなったの……
私の頭の中でしか沙月は、存在してなかった。」
続いて、茜が話し出した。
「私は中学三年の時、沙月と出会ったの。
私も門司に住んでいたけど、沙月が転校して来て、自信のなかった私に優しくしてくれた。
沙月は、福岡歌劇団を私に勧めてくれて、そして私は福岡歌劇団の男役にハマっていったの。
高校生になって、沙月とは連絡が取れなくなってしまった。
自信の無かった私は普通の高校に進学したの。
そして、家にあった薔薇を何気に匂いを嗅いだら、急に男らしくなって福岡歌劇団の事が忘れられなくて、高校を中退して福岡音楽学校に入ったの」
「それって、お互い沙月との出会いが重なってないって訳?」
「そうなの。
私の方が一つ歳上だから、先に沙月に会って、その後に若菜に出会ってるの。」
「茜ちゃんは、失礼だけど何歳?」
「私が二四歳、若菜が二三歳かな?」
「ちょっと待てよ………
沙月は、俺と同級生で中学三年で交通事故で亡くなった。
俺が今、二八歳、茜ちゃんが二四歳、四年後の話か……
そして若菜ちゃんは、五年後の話?」
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