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「その薔薇とかすみ草は、裏門司の山で、沙月のご両親が栽培していたみたいで、私と茜は二年後に沙月の家を訪ねたわ。
そして、沙月が七年前に交通事故で亡くなっていた事に気付いたの。」
「確かに沙月の家で、薔薇やかすみ草を栽培していた。
沙月はご両親と一緒に栽培を手伝って、私にもいろいろ教えてくれた。
だから今、ネパールのガーラ村でも沢山の薔薇やかすみ草も栽培してるんですよ。
明日でも良ければ、山に登ってみませんか?
あっ……すみません。
話が脱線して……
沙月は二人に対して違う性格で接していたんですね……
茜さんの場合は男ぽく、若菜さんの場合は女らしく。
自分の知ってる沙月は両面を持ってました。
時には男らしく私を怒り、時には女らしく私を慰めたり、そんな沙月が大好きでした。
しかし、不思議な話だ。
先程の演劇と話が似てる気がする。」
「あれはジミー・ブラウンの脚本で、最初に聞いた時はビックリしたわ。
私も茜も。」
「じゃ、その薔薇とかすみ草って今は?」
「私達、ブロードウェイの舞台で花の力を借りなくても、どうにか成長する事が出来た時、花は枯れてしまい今はドライフラワーで大事にしてるんです。」
「二人はブロードウェイに出たの?
しかし、あの演技で……?」
「渡辺さん、かなり失礼ですね!」
「あっ……
若菜さん、ごめんなさい」
「不思議な話だ。
沙月は二人の心に残っていたのか……」
若菜は最後に言った。
「いやっ……
まだ、私達の中に沙月は居るわ。
だって、今日の舞台、私達より沙月の方が動揺してたかも知れない。」
「なるほど……」
「あれは、二人の実力じゃなかったって事?」
「当たり前でしょ。」
「茜さん、ごめんなさい。」
「お前達、何時だと思ってるんだ!
渡辺君、さっさと帰ってくれ!」
「すみません。
遅くなりまして!
では明日、宜しければ私の花畑にお越し下さい。
お邪魔しました。」
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