赤と白 第二章 1

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 しかし茜は、南スーザンで出会った一人の民族に恋をしてしまう。  素朴な優しさに触れ、茜にとって初めての恋がスタートした。  でも茜にとって許される恋では無かった。  福岡歌劇団は恋愛禁止、ましてや父親が本部長だ。  しかも、相手は南スーダンの現地のヌエル民族。  茜は彼のたくましく生きる姿に惚れた。   「どうしても、アラザンに逢いたい♡♡♡」  茜の心は、抑える事が出来ずにいた。  しかし、二人は今まで以上に忙しい生活が始まっていた。  もちろん年三回、福岡歌劇団では歌劇Y&Aと福岡歌劇団コラボの特別公演を開催していた。  福岡歌劇団の会場じゃ入りきれないので、福岡ドームを使用しての舞台だった。   「私達、歌劇音楽学校を卒業して、実際に皆んなと一緒の舞台をしたのは、初舞台の一回だけだよね。」 「私達は、今の現実を喜んでいいのかな?  福岡歌劇団に入りたくて、毎日、夢みて努力した姿が今なんて……」 「沙月も、今を喜んでいるかな……」    その時、二人に驚きの朗報が届いた。  世界ノーベル平和賞が二人に決まったと島崎本部長(本部長に昇進していた)から電話があった。  内容は、全世界の恵まれない人々に勇気と希望を歌と踊りで娯楽を伝え学校、病院の建設。  歌劇Y&Aの平和に対するスピーチで国内の反乱、戦争は減って訪問国は、歌劇Y&Aを神だと持ち上げている。    その時、私は日本に帰って来て政治家を目指していた。  何故だって……  私が若菜さんと茜さんを見た日から、私は、このままで良いのか?  私にしか出来ない事がきっと有るはず。  私は毎日考え続けた。  二人に再会した日には、対等の立場でいたい。  そして出した答えは、政治家になる事だ。  今の政治のままで良いのか。  テレビや報道で聞くのは政治批判ばかり。  汚い、政治の汚職に私は終止符を打ちたかった。   自らの地位や職権を利用して横領、収賄や天下り。  私は絶対、そんな政治家は許さない。  私の手で今の政治を変えてみせる。    私は、門司の統一地方議員から立候補したが一年目は落選……  知名度も無いし、大した学歴もない、そして政治の経験もない。  そして一番大事なお金もない。  アルバイトをしながら供託金を貯めたが。  もちろん選挙カーたる物も無い。  有るのは、明日を夢みる根性だけ!  
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