高校受験

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高校受験

俺は中3になり、 星彩は、小5となった。 星彩の特訓のお陰で、バレエもそれなりに様になってきていて、休むのはもったいないのだったが、受験を控えて流石に休まざるを得なくなった。 部活の引退と共に、バレエ教室も休ませてもらうことになった。 それなのに…、 カワイイ妹は厳しくて 「お兄ちゃん、 勉強の気分転換にバーレッスンは、 した方が良いよ。 体調管理にもなるし。」 と休ませてくれないのだ。とほほ… 時間になると勉強していても 「お兄ちゃん、レッスン行くよ。」と ひかるさんの部屋に連れて行かれる。 星彩は、幼い頃からやっているから、 先生から「コンクールに出てみては」と言われるほどの実力だ。 本人は、あまり関心がないようだが。 かたや、俺はまだ2年弱の未熟者。 相変わらずビシビシしごかれていた。 うまくできないと星彩が手本を見せてくれるのだが、どんなポーズを取っても正直惚れ惚れするほど美しい。 「なあ、星彩。 コンクール出るのか?」 「ううん、別に考えてない。 バレリーナになりたいわけじゃないし。」 「そうなんだ。 でも、じゃ、なんで習ってんの?」 「好きだから。それだけ。 野球だって、テニスだって、プロを目指してる人ばかりじゃないでしょ。 好きだからやってるの、ピアノもバレエも。」 「ひかるさんみたいに、華苑に入るつもり?」 「それも、どうかな。まだ、よく分からない。意外と観に行ってないのよ。小さい時何度か行ったきり。 お母さんは、自分の進む道を狭めないために、色んな物を見た方がいいから、 わざと華苑に連れて行かないみたい。 行くと、どうしても周りも騒ぐでしょ。 それで、なんとなくそのルートに乗るのは良くないと思ってるみたいなんだ。 お母さんは、お父さんとの出逢いという強烈なきっかけがあって、それまでただ好きなだけで、全然進むつもりがなかった世界に飛び込んだわけでしょ。 私も、まだ好きだからやってるだけで、きっかけは、ないかな… 私はともかく、お兄ちゃんはもっと真剣に勉強した方がいいと思うよ。 私の進路を心配するより、自分の進路を考えないと、叔母さんを心配させちゃうよ。」 と、逆に叱られる始末だった。 確かに、星彩に言われるまでもなく、自分の事を真面目に考えないといけないのは、分かってた。 星彩の側に居たいのなら、尚更だった。
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