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七杜親子を送り出した組長と扇
「扇君の目は間違いなかったね。
しかも、バックにあの母あり。
今でも荒削りな部分はあっても
若さで補えて、トップ娘役としては充分なのに、
この先どれほど伸びるか、楽しみだわね。」
「サラブレッドの上に、努力家ですから。
こちらがこうなると良いなと思った以上のことをやってきます。
時々びっくりというか、負けていられないと思いますよ。
なにしろ、七杜ひかるさんが、
あのお歳で、
“まだ進化し続ける”と
公言してる人ですから。
その母を見て、当たり前のように育ってきたわけですから。
彼女をお茶に誘ったら、
どこに行ったと思います?」
「ホテルのラウンジとか?」
「普通の女の子なら、そうですよね。
代官山のTSUTAYAです。」
「本屋さん?」
「なんですけど、ラウンジがあって、
時間制で飲み放題食べ放題、読み放題。
音楽も聴ける。
中学生の頃、
ずっとそこで自学自習してたらしいです。
今でも役作りで資料が欲しい時は、
そこに籠もるらしいですよ。」
「ほ~お!」
コンコン
「失礼します。七杜ひかりです。」
「どうぞ。
さっそくですが、明日は夜公演だけですが、その前に新聞、雑誌社の取材と、CS放送向けのインタビュー番組の収録がありますので、11時には劇場に入ってください。
まだ、ロビーにテレビカメラとか記者がいるようですが、今日の公式の取材ではないので、裏から帰って大丈夫です。
出待ちの人もいるかと思いますが、
もう時間も遅いので、近隣の迷惑にならないよう、速やかに移動して下さい。
私からは、以上です。
扇君から何かありますか。」
「私からは、特にありません。」
「では、ゆっくり休んで、
明日からも頑張りましょう。」
「はい、ありがとうございました。」
組長の部屋を出て帰ろうとすると、
「ひかりちゃん!」と呼び止められた。
「あのさ…、
東京公演が終わってからでもいいんだけど、買い物一緒に行く?
ひょっとして、服を選ぶのって、
余り得意じゃないのかな?
もしよかったら、
私の好みになっちゃうけど、
選んであげる?」
「あ、バレてました?」
「割と無難にまとめてるから、
ひょっとして、と思って。」
「実は、男の子のように育ったので、余りファッションに関心なくて、
無難に綺麗めにしてました。
髪型とか、アクセサリーとか服装も勉強しないと、ですよね。」
「誰でも、得意不得意はあるじゃない?
だから、ひとりで頑張らなくても、
仲間に教えてもらうも良し、
先輩に見てもらうのもあり。ね。」
「はい。お願いします。」
「じゃ、今度ね。」
あぁー、ファッション苦手なの、
ばれてた~涙
がんばろう…
一方扇は、
落ち込んでたみたいだけど、
一つくらい欠点ある方がかわいいって、
分かんないだろうな~
なにか、アクセサリープレゼントしたくなってきた。
長目の、揺れるイヤリングが似合うわよね。今の髪型なら…
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