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「だけどこの記事、ずいぶん事実を曲げられてます。」
「元カノがネタ持ち込んだなら、自分のことは悪く言わないでしょ。」
「…元カノ?」
岸が漏らした元カノ発言に、茂山は不審な目を向ける。
「あ、やべ。」
「え!リョウの過激ファンて、リョウの元カノだったの?」
「あの野郎!それならしっかり自分でオトシマエつけろよな!リョウのファンってだけでもこっちは迷惑してんのに、うちの藪内に何させてんだよ!」
川田にも突っ込まれ、意外なところで茂山が怒りだしたので、二人はびっくりした。
「わわ。茂山さん落ち着いて下さい!」
「偽装夫婦は私から提案したんです!」
「何?お前から?」
「ムカついてたんですよ、元カノに。リョウさんに好意があったし、DMもいい加減鬱陶しくて。私がリョウさんに協力を持ち掛けたんです。」
岸が提案した偽装夫婦案だが、めぐみが自分で提案したと言い出し、さらに自分が諒也に好意があったことを盾にしたと嘘をついた。
その方が丸く収まると思ったからだ。
「めぐみ…」
心配した岸がめぐみに声をかけるも、いいから、というような顔で頷いた。
なので、岸は何も弁解しなかった。
「まあ、プライベートなことに口出しする気はないけど…。お前、リョウに遊ばれてるわけじゃないよな?」
茂山がそう言った時、めぐみが持っているスマホから声が聞こえた。
そう、諒也との通話は繋がったままだったのだ。
「あ、えっと、茂山さん。諒也がかわって欲しいそうです。」
めぐみが茂山にスマホを手渡すと、いろいろ問いかけたり説明を聞いたりしていた。
「まさか、あの女がタレこむとは予想できなかったね。結婚のことは内緒にしてるって言ってたから、腹いせかな?」
岸にそう言われ、何かを思い出しためぐみ。
「あ、そういえば、あのメッセージ…」
「メッセージ?」
「元カノから、よくわかんないメッセージが送られてきてたんだよ。」
「どんな?」
確認したいが、今めぐみのスマホは茂山が使用中だ。
「確か、結婚を隠してるのはなぜなのか、とか、私の都合で秘密にさせてて諒也がかわいそうだとか、そんな感じだったんだよね。諒也に迷惑かけた張本人が何言ってんだ?!てムカついたから、放置してた。」
「…もしかして、それじゃね?無視されたから、腹いせにタレこんだのかも。」
「えー!?私?」
いや、でも、当たり前に返事が返って来ると思っている元カノに腹が立つ。
やっぱり自己中じゃん!とめぐみは納得いかなかった。
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