5-1.スクープ

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「だけどこの記事、ずいぶん事実を曲げられてます。」 「元カノがネタ持ち込んだなら、自分のことは悪く言わないでしょ。」 「…元カノ?」 岸が漏らした元カノ発言に、茂山は不審な目を向ける。 「あ、やべ。」 「え!リョウの過激ファンて、リョウの元カノだったの?」 「あの野郎!それならしっかり自分でオトシマエつけろよな!リョウのファンってだけでもこっちは迷惑してんのに、うちの藪内に何させてんだよ!」 川田にも突っ込まれ、意外なところで茂山が怒りだしたので、二人はびっくりした。 「わわ。茂山さん落ち着いて下さい!」 「偽装夫婦は私から提案したんです!」 「何?お前から?」 「ムカついてたんですよ、元カノに。リョウさんに好意があったし、DMもいい加減鬱陶しくて。私がリョウさんに協力を持ち掛けたんです。」 岸が提案した偽装夫婦案だが、めぐみが自分で提案したと言い出し、さらに自分が諒也に好意があったことを盾にしたと嘘をついた。 その方が丸く収まると思ったからだ。 「めぐみ…」 心配した岸がめぐみに声をかけるも、いいから、というような顔で頷いた。 なので、岸は何も弁解しなかった。 「まあ、プライベートなことに口出しする気はないけど…。お前、リョウに遊ばれてるわけじゃないよな?」 茂山がそう言った時、めぐみが持っているスマホから声が聞こえた。 そう、諒也との通話は繋がったままだったのだ。 「あ、えっと、茂山さん。諒也がかわって欲しいそうです。」 めぐみが茂山にスマホを手渡すと、いろいろ問いかけたり説明を聞いたりしていた。 「まさか、あの女がタレこむとは予想できなかったね。結婚のことは内緒にしてるって言ってたから、腹いせかな?」 岸にそう言われ、何かを思い出しためぐみ。 「あ、そういえば、あのメッセージ…」 「メッセージ?」 「元カノから、よくわかんないメッセージが送られてきてたんだよ。」 「どんな?」 確認したいが、今めぐみのスマホは茂山が使用中だ。 「確か、結婚を隠してるのはなぜなのか、とか、私の都合で秘密にさせてて諒也がかわいそうだとか、そんな感じだったんだよね。諒也に迷惑かけた張本人が何言ってんだ?!てムカついたから、放置してた。」 「…もしかして、それじゃね?無視されたから、腹いせにタレこんだのかも。」 「えー!?私?」 いや、でも、当たり前に返事が返って来ると思っている元カノに腹が立つ。 やっぱり自己中じゃん!とめぐみは納得いかなかった。
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