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4-10.嵐の後
「何あの女!!ムカつくー!!」
ユイが出て行ってすぐ岸が文句を言ったが、おそらく聞こえているのではないだろうか。
「諦めたのかな?知らない、勝手にしろってことは、そうだよな?やった!大成功なんじゃない?」
タケが嬉しそうに言う。
ユイがいなくなり、もう演技する必要がなくなったので、いつまでもこの状態もおかしいだろうと思って、めぐみは諒也に声をかける。
「諒也、もう離してくれていいんだけど」
そう言われた諒也は、しぶしぶ腕をほどいてめぐみを解放した。
すると、めぐみは申し訳程度に少し離れた。
「これで、あいつが嫌がらせをやめるかはまだわかんないけど、とりあえず、タケ、岸さん、めぐみ、迷惑かけてすまなかった」
三人に頭を下げる諒也。
「リョウさん、いいんですよ!頭あげて下さい」
「あと、俺の知らないところで、いろいろ協力してもらったみたいで、助かりました。本当にありがとう」
岸に頭をあげろと言われるも、再び感謝の言葉を口にする諒也。
「諒也。黙っててごめんな。びっくりしただろ?お前に言うとややこしいからさぁ。せっかくめぐちゃんが協力してくれるって言ってんのに、巻き込むなとかぬるいこと言うから…」
「悪かったな、ぬるくて。めぐみも。俺の妻役までやらせて…、巻き込んで悪かった。俺あいつの嫌がらせがエスカレートしてるの全然知らなかった。気づけなくて、助けてやれなくてごめん」
「うん」
その後、いろいろ聞きたいという諒也に、三人で会い、元カノユイの話をして、今回の計画を企てたことなどを説明する。
タケは、勝手に諒也の過去のプライベートな話をして悪かったと謝罪した。
諒也は情けない話だと少し恥ずかしそうにしていたが、仕方なかったと言ってタケを責めることはなかった。
再度、三人にお礼を言った諒也が、めぐみと二人で話がしたいと願い出た。
なので、めぐみと諒也を残し、岸とタケは先に帰ることにした。
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