4-10.嵐の後

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二人が出て行ったあと、諒也は改めてめぐみに頭を下げる。 「めぐみ、今回は巻き込んでホント申し訳ない。それと、ありがとう。」 「もういいって。何回も聞いた」 「めぐみが苦しんでる時、俺なんにも知らなくて暢気に過ごしてて、凄い情けない。なんかあったら言って、て言ってんのに、何にも言ってくんねーし」 諒也は悔しそうに顔をゆがませている。 「まあ、それは、ちょっと意地みたいなのもあって」 「意地?」 「諒也に言ったら負け、っていうか泣きつくみたいでイヤだったし、それに、私が諒也に言うと、諒也はユイさんに連絡取るかもしれないでしょ?」 「まあ、そうだな」 「ユイさんはそれを狙ってるのかな、て。だからユイさんの思い通りになってたまるか!ていう」 「言ってることはわからんでもないけど…」 悩ましい顔をしている諒也。 まだウダウダ自分を責めてるのだろうか。 「あと、なんか、変な役やらせて悪かった」 「ああ。妻役とかイメージ湧かなくて難しかったかも。しかも、諒也は知らなかったから相談もできないしさ」 「だよな。悪い」 「だから、もういいってば」 諒也は気まずそうな顔をしたかと思えば、思いついたように喋り出した。 「難しいと言いつつ、愛の告白がよくあんなにスラスラ出てきたよな。ビビったわ。あれ全部アドリブか?すげぇドキドキした」 「そこはもう掘り返さなくて良いから」 めぐみは思った。 苦手な恋愛ドラマで勉強した甲斐があった。 あれでも結構テンパってて、正直自分でもどんなふうに言ったかあまり覚えていないけど、改めて振り返られるとかなり恥ずかしい。 そこはスルーしてくれたらいいのに、と。 諒也はなぜか黙り込んで少し寂しそうな顔をしていた。 そんな顔で急に黙られ、不安になるめぐみ。 「どうしたの?」 めぐみがそう問いかけるも反応がない。 めぐみを見ているようだが視線は合わない。 何かを考え込んでいるようだ。 すると呟くように諒也が言った。 「演技なら誰とでもキスできんの?」 「…は?!」 演技なら誰とでもキスできる?! なにそれ。 なんかその聞き方感じ悪い。 めぐみはそう思って、不機嫌さを隠さず諒也を睨む。
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