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「それと、今回のことは仕事でもなんでもないんだから、イヤなら妻役は申し出ないし、いくら元カノを納得させるためとはいえ、自分からキスだってしない、と思う……たぶん」
「え!?」
言ってしまったあとに、なんだか大胆告白をしてしまったようで、ちょっと恥ずかしくなっためぐみ。
まあ、実際、嫌じゃなかったんだよな~。
むしろ、気持ちいいとさえ思ってしまったし。
なんてめぐみが考えていた時、諒也がジリジリと近づいてきていることに気が付いた。
「…てことは、妻役はイヤじゃなかったし、俺とのキスもイヤじゃなかった、てこと?」
そんなハッキリ確認されると、正直に認めるのは気が引ける。
だってほら、諒也が確実に距離を詰めていて、なんだかちょっとヤバそうだ。
「ちょっと!なんでそんな近づくの?」
「うん?なんか声が聞き取りづらくて」
「いやいや、聞こえてんじゃん!普通に話してるし」
とうとう後ろに逃げ場がなくなった。
「俺の気持ち、知ってるよな?」
「ちょっと待って。近いって!」
めぐみが腕を伸ばして諒也から距離を取ろうとする。
諒也はその手を握って、めぐみのすぐ目の前まで迫る。
「諒也、いったん落ち着こうか」
焦るめぐみを無視して問いかける。
「もっかいしていい?」
「なんで!?」
「したいから」
「はあ?!」
「だってさっき、今はダメって言ったろ?なら、もういいんじゃね?」
さっきまでヘコんでたはずなのに、もう期待に満ちた目をしている。
「いや、だからそれは夫婦設定だからであって…」
「そんなんどうでもいいよ。とにかく、イヤじゃないんだろ?」
「そう、だけ……んっ」
話してる途中で諒也がめぐみにキスをした。
やっぱりこうなるのか。なかば覚悟はしていたが。
もう強引だなあ、なんて思いつつも、まあいっか、とめぐみは受け入れた。
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