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強引に唇を合わせてきたくせに、優しく触れる。
はじめは遠慮気味に、何度か軽く触れあったあと、少し顔を離した諒也が「イヤだったら殴って止めろよ」と言う。
だから、困ったことにイヤじゃないんだってば、なんてめぐみが思ってたら、またすぐに唇に吸い付かれる。そしてさっきと同じように、だけど今度はゆっくりと、何度か角度を変え、キスを繰り返す。
やがて舌が侵入し、口内を舐めつくし、めぐみの舌を誘う。
頭がぼーとしてきためぐみは、誘われるがまま反応を返す。
めぐみが反応したことにより、さらに情熱的に求められ、舌が絡みつく。
「…っん」
漏れ出ためぐみの鼻にかかった甘い声と、二人のキスが奏でる音に、諒也は興奮がおさえられず、めぐみの頭の後ろを手で支え、さらに深く求める。そうして反対の手でめぐみの腰を抱く。
繰り返されるキスに蕩けそうになりながらも、頭の後ろにあった諒也の手が背中を撫ではじめたあたりで、めぐみにわずかな理性が働き、やめさそうとして諒也の腕を掴んだ。
それに気づいた諒也がやっと顔を離した。
至近距離で見つめられ、なんだか恥ずかしくなっためぐみは目を反らした。
めぐみの頬が上気して色気を放っている。
そんなめぐみを間近でみて、諒也は物足りなくなったのか、感情を抑え込むようにめぐみをギュっと抱きしめた。
「やばい。止まれなくなるとこだった」
レンタルルームだったことを、心底残念がっているようだ。
しばらくして諒也が言う。
「はあ、良かった。あんなふうに怖がらせたあとだから、嫌われたと思った」
以前、めぐみを脅かした時のことを言っているのだろう。
「…嫌われたと思った人がするキスなの?今のは」
「や。だって、嫌じゃないとか言われたら嬉しくて。調子乗った。ごめん」
メディアの前ではいつも堂々としてて、俺についてこい!くらいの勢いでライブもこなすのに、一人の女性に対してこんなにしおらしいのが、なんだか少しおかしかった。
正直に言うと、諒也とのキスは気持ち良かったし、とろけそうだった。
たぶん、諒也に惹かれている。
そう思っためぐみは、諒也の背中に手をまわした。
すると、諒也の腕に力が入った。
「諒也。ちょっと苦しい」
「あ、わりい」
そう言ってめぐみを離す諒也。
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