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「めぐみ。まだまだ聞きたいことはあるんだけど、こんなとこじゃ落ち着いて話せない」
「え、そうかな?家と変わらず寛げるように、こういう部屋にしたんだけど。それに隠してることは全部喋ったと思うけど」
「いや、まだ全然足りない。ってか、この部屋、お前が選んだの?」
「岸と一緒にね」
「…レンタルルームってことは時間に制限があるだろ?時間気にしなきゃいけない時点で落ち着けないと思うわけ」
「まあ、そう言われたら仕方ないけど」
「だから、さ…………俺んち来ない?」
誘うのをちょっと躊躇したようだった。
返事を待つ顔が、まるで大型犬がご主人様の顔色を窺っているようにも見え、なんだか可愛いと思ってしまっためぐみ。
諒也の顔は、決して可愛い部類ではない。
切れ長の鋭い目をしているので、不良やヤクザ、刑事など、もれなくアクションがついてくる男くさい役柄を演じることが多い。
そんな人に対して、可愛いなんて言葉は似合わないのだが。
家に行くのは別に構わないけど、このままだと絶対そういう雰囲気になりそうだよな~と、めぐみは少し迷った。
実は、めぐみはその行為があまり好きではない。
というのも、さほど気持ち良いと思えないからだ。
それは、過去の男たちを本気で好きだったわけではないからなのだが。
その事実は、後ほど知ることになる。
「でも、この前もう家に来るなって言われたしな~」
「あれは…ホントごめん!撤回する。それに、めぐみが嫌がることは何もしない」
「……男の、何もしないって言葉は信用しちゃいけないって、よく言うよね」
「……」
「なんで何も言い返さないの?」
「や、その通りだな、と思って。下心が全くないわけじゃない。けど、めぐみが嫌がることはしないって思ってるのもホントだから」
正直過ぎる。
もう下心は隠さなくなったらしい。
「じゃ、私が嫌がったらやめてくれるってこと?」
「…もちろん」
「今間がなかった?何、今の間!優しくて常にクールなリョウくんなんでしょ」
「やめろよ、それ。萎える。とにかく、俺んちでゆっくり文句聞くから。」
「まだ行くとは言ってない」
焦る諒也とか必死な諒也が面白いし、可愛いとか思ってしまっているめぐみは、もうずいぶん諒也に落ちていると思われる。
「サブスクにめぐみの好きそうな映画追加されてたよ」
「そういうのズルい!」
めぐみはこの状況を楽しんでいた。
そして、諒也も浮足立っていた。
浮つきながら二人で部屋を出て、諒也の車に乗り込んだ。
すっかり油断していた二人は気づかなかった。
誰かに見られていることを。
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