5-1.スクープ

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隅っこでぼそぼそ喋っていたが、突然大きな声を出しためぐみ。 「え?!ホントに?」 それを聞いた岸と川田は不思議そうに顔を見合わせていたが、 通話中のまま振り向いためぐみが言う。 「今回は熱愛記事で出して、次号以降に、実は結婚してたっていう記事を出すみたいです!」 「は?!結婚?」 驚いたのはマネージャーたち。 岸は、やられた、という顔をしている。 どういうことだと詰め寄られ、なぜブルジャ側はそのことを知っているのか、などと問われる。 諒也と通話しながら説明していくめぐみ。 ブルジャ側の事務所は、ここの出版社とは良好な関係で、懇意にしている記者がそのことを漏らしてくれたらしい。 交際のことは報じられる。 一応、熱愛疑惑として書かれているが、写真があるので説得力は高い。 しかし結婚となると、タレコミした一人の言い分でしかなく、婚姻関係を証明するものは何もなく信憑性に欠ける。 交際ですら寝耳に水状態だったので、それだけでも話題になるだろうと判断し、結婚のことは今回は見送ったらしい。 だが、どうやら関係者に聞き込みにまわっているそうで、裏取りができしだい記事にするそうだ。 しかし、なぜ結婚という話がでているのか茂山に問われ、言い淀むめぐみ。 言いにくそうにしているめぐみのかわりに岸が説明する。 「藪内。こうなったらもう、全部言うしかないよ。茂山さん。前に、藪内に陰湿な嫌がらせしてくるヤツいたじゃないですか」 「ああ、リョウの過激ファンか。そういえばいつの間にかなくなったな」 「それ、私たちが直接会って話して撃退したんですけど、」 「は?直接?!お前、なんつー危険なことやってんだよ!川田知ってたのか?」 「いえ!私も今はじめて聞きました」 「何やってんだよ!」 「大丈夫です!何もされてません!」 「はぁ。お前は標的にされてたんだから、勝手に動くなよ。何事もなかったから良かったけど」 「…すいません」 心配するマネージャーたちに申し訳なく思った。 そして、ちゃんと大事にされてるな、と感じた。 「はあ。だけど、話し合いだけで解決できたのか?」 「はい。それなんですけど、藪内とリョウさんが結婚してることにして、交際は無理だって言って諦めさせたんです。最終的には諦めてくれたみたいだし、嫌がらせもなくなったんですけど、この写真はその時撮られたものです」 「…なるほど、そういうことか」
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