5-1.スクープ

6/6
前へ
/250ページ
次へ
「私を仕返しに使おうとしてるんですね…」 めぐみは呆れた。 「結婚してるって言っとけば、コソコソしなくていいし、変に口説かれることもないでしょ。あと、オファーサイドもそれなりに考慮はしてくれると思う。藪内にハクもつくし、悪い話じゃないと思うけど」 川田も茂山の意見に賛成なのか、めぐみを説得する側に回った。 メリットしか言わないので、思うように転がされはじめためぐみ。 「…ふ~む」 「バツがつくのがイヤなら、事実婚とかでもいいぞ。それなら離婚しても戸籍は綺麗なままだしな。元カノ騙したなら、世間も欺けよ」 茂山がそんなことを言う。 岸は同情していたが、何かに気づいて声をあげる。 「もし結婚を否定したら、またこの女が藪内に何かしてこないかな、てちょっと心配ではある」 「まさか~」 まさかそんなことはないだろう、と思いはしたけど、思考回路が理解できない人だったことを思い出しためぐみ。 ユイの目の前でラブシーンまで見せつけてやったのに、振り出しに戻ってしまったら元も子もない。 それに、もし二度目があったとしたら、確実に一度目を超える攻撃になるだろう。 あんな陰湿な嫌がらせは勘弁願いたい。 「まぁ、結婚報告したとしても、不特定多数からの誹謗中傷はありそうだけどね。それでも、あの元カノみたいな陰湿な人はそうそういないとは思うけど」 「…そっか…ん~、なら、それもアリか」 少し悩んでいためぐみだったが、どうやら流されてしまったようだ。 電話の向こうの諒也に告げる。 「よし!諒也。結婚しよ」 ご飯食べに行こ、のテンションで軽く言っているが、これはどこまで本気なのやら、なんて岸は少し心配していた。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加