【最後の一口】お祝い

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「いくらなんでも、遠すぎるだろ」  微かに滲む視界に、色とりどりの火花が音を立てて散っていくのが映る。  ぽつりと呟いた俺を、望月さんが振り返った。 「何か言いました?」 「いや……花火、凄い綺麗だなって」 「そうですね」  二人揃って立ち止まり、空を見上げた。  夜空に再び花火が打ち上がる。  煌めいては空の中へと消えていくそれを、俺はそっと瞼の裏に焼き付けた。 END.
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