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今度は気持ち悪い笑顔じゃない、私の中で晴れやかな笑顔。
「なんだ、弱いじゃんアンタ」
***
「なんでそんな仕事おっそいんすか」
「え?まだ終わってない?はぁ、また私がカバーしなあかんのですが、そうっすか」
「なんでそんなことも出来ないんですか?今まで何して生きてたんですか?」
「はぁ?なんでまだその子泣いてるんですか?本当に保育士ですか?」
きょうもチクチク、チクチク。
ことばのあめがふる。
「なんでそんなに仕事できないんですか。私より年上なのに」
チクチク、チクチク。
晴れやかな笑顔で、言葉の雨は降り続ける。
ありさ先生が嗚咽を漏らしながらトイレに籠ってしまった。
でも、そんなこと知らない。
まだ、こんなもんじゃない。
でも、私の語彙力が足りない。
どうしたら意地悪な言葉が出てくるだろう。意地悪を言った経験が全くないから、事実の言葉しか投げられない。これじゃあ、今までの抵抗になんかなりやしない。
「あーあ、もっと降ってくればいいのに」
チクチク言葉の雨よ、もっと私に降ってこい
fin
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