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「はーあ、誰がこんなとこに本置いたの?」
10分後、ありさ先生からまた棘のついた言葉が飛び出た。置いたのは私だ。だけど、数分前に子どもに絵本を読み終えて、ウンチが出ているのに気づいたから一旦本を置いておむつを先に交換しようとしたからだ。どうして揚げ足をとるようにそんなことを言われなきゃいけないのだろう。本の文句を言うぐらいなら、なぜ彼女は私に変わっておむつ替えをしないのだろう。
「うわ、タオル汚れてるし。あーあ……洗う手間が増えてるし。はぁ」
盛大なため息が聞こえる。
赤ちゃんのお尻を拭くのが下手だと言わんばかりに。でも、仕方がない。だって、下痢だったんだから。しかも、おむつから少し漏れていてズボンに少しついているぐらいだった。上手に拭くなんて、プロでも難しいと思う。そんなに文句を言うなら自分でやればいいのに、他の赤ちゃんが近づいてくるのを必死に止めながら拭いているのに、何もせずただ上から眺めているだけ。6カ月の赤ちゃんを抱っこして上から見下げているだけ。
「はぁ」
ああ
ため息だけで、どうしてこんなに痛いんだろう
チクチク言葉が今日も降る。
私の心に、目から零れられなかった溢れた雨がザクザク降って血まみれになっている。
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