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「その感動を受け止めている時、脚本を書いた方ご本人が来ていることに気づき、ためらわず声をかけていました。どうすればこんな作品が生まれるのか聞きたくて仕方なく」
こうして向き合ってみても、下心やいやらしさみたいなものは何も感じない。
物腰柔らかで、スマートで紳士的な身なりと振る舞いをするおじさまだ。
「どうして、あの脚本を書こうと思ったんでしょうか」
「プログラムの対談で話してる通りです。出演の二人に合うと思った原作を選んで、それを脚本に起こしたまでです」
すると彼は意外そうな表情をした。
「俳優の採用が先、だったのですか」
「はい」
そのまま説明していく。
「当て書きと言って、あらかじめ決まっている出演者のイメージなどに合わせて役や脚本を書くんです。今回はオリジナルではなく原作の短編小説があるんですが、作品集のうちどれを採用するか自由だったので、あの二人の魅力を引き出せると思ったこの一作を選びました」
「出演者のイメージですか」
うなずいて、続ける。
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