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そっと畳みかけるように加えると、彼は少し困ったような表情を見せてから、控えめな口調で尋ねた。
「この年になって今さら聞くことではないかもしれませんが……女性の方は、恋愛関係になる相手や、生涯のパートナーとなるかもしれない相手に何を求めるのでしょう?」
あまりに広大で哲学的な内容に、面食らう。
話を振った私も私だけど、随分と深く踏み込むことを聞かれる。
「作品の中の女の子は、出会った直後から何も考えずただ彼のことを追いかけるのですが、本当にそれでいいのでしょうか。相手のことを何も知らないのに。それでは、たとえ今その想いが叶っても、本当の彼のことを知って想像と違うと思ったりでもしたら、悲しんだり、失望することさえあるかもしれないのに」
矛盾を感じることを言う。その彼女の行動を通して描かれていた感情を自分のことのように思ったと言ったばかりなのに。
もしかしたら、自分の中に、抑え込んだり制御しないといけない何かを抱えているのだろうか。自分の中にそういう混乱を生じさせるような。
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