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「包容力や余裕、でしょうか。私の考えることや思うことをいつでも受け止められるような。すぐに消化できないにしても、認識と、できるのなら理解してくれるだけでも……せめて聞いてすぐ否定しないくらいの寛容さは」
「お迎え予定の相手に求めているものですか?」
さらりと見抜かれ、ごまかすように小さく笑う。
「今は確かに彼が対象ですね。ただ……」
「ただ?」
「……彼では満たされないと、もし思ったら、違う人にその望みを託すようになるかもしれません。それに、相手に求めるものがあるのはもちろん向こうも同じですから、もし私がそれに当てはまらなくなってしまったら逆に私のほうがふられますね」
「いくら客観的に、第三者からして見たら申し分ない相手であっても、本人が求めている人でなければ、それは幸せになれる相手ではない、と」
鋭くなったおじさまの視線に軽く頷く。
「お互いに求めているものを与え合うことができる。『一緒にいて幸せになれる二人』のひとつの条件なんだと思います」
どうして、会ったばかりの人とこんな深い話ができるのだろう。
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