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京介さんの親子間の仲の悪さという問題に向き合えないような女だと思われた。
そう、私は解釈してた。
でも、もしかしたらそれは、私も向き合えないくらいこじれたものなのだ、だから入り込むなという意味だった?
「長く、遠く離れていたにも関わらず、ずっと忘れないでいてくれた、とおっしゃいましたね。そこまでの強い気持ちを持った方が、相手のほうから関係を進展させたいと申し出られて拒否したくなるとは、私は思えません」
しばらく、しんとしていた。
「……また、同じ質問を返すようになりますが、高橋さんは今、その方のことを大切に思っていますか?」
急に何を聞くのかと、自分がたじろぐのがわかった。
「はい、もちろん……これから先も一緒にいたいですし、作品作りだけでなく、仕事の外でも刺激し合える仲で、でもお互いの安らげる居場所でもあり続けたいです。仲直り……」
しないと、いけない。こんなことで、離れていきたくない。
すっと、気分が落ち着いた気がした。
……話したい。この後、会いたい。
「……そう思っていることを、本人に伝えたことはありますか? そのまま」
……そのまま?
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