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出会った時も帰国した後も、口説くようにしてたのは彼のほうだった。それに、いつでも、甘く、優しくしてくれた。
昨夜、拒絶された気がして怒って傷ついたのは、それまでずっとあった、向き合ってくれる優しさがあったからこそで。それが理由もなく消えたような気がしたから、焦って、怖くなってた。
「とんでもないです。それに……見苦しかったのはきっと私も同じですから」
優しさはいつも同じように見せられるわけじゃない。昨日のあれは、その形が変わっただけの、今まであったのと同じ思いやりだったのかもしれない。
そう考えると、気づかなかった私も反省すべき点はあるのだろうか。
そもそもを考え直してみるなら、私はあの時京介さんに「わかりました、じゃあ今度一緒に……」みたいなことを返してほしかったのだろうか? 想像してみても、どうもしっくりこない。
なら、私はどうしてその提案を出したのか。景斗くん以外の家族とも会いたかったから? 結婚を意識してほしかったから?
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