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「もしかして遊ばれてる? 彼が実は本気じゃないサイン」というタイトルがのぞいていたそれは、女性向けメディアサイトのコラムのようだった。
ゆらゆらと操られるように指がそれを開くと、「家族や友達に紹介しようとしない」という小見出しが飛び込んできた。
すぐに記事のウィンドウを閉じた。
やっぱり見なければよかった。どうしてこんな記事は嫌なタイミングで自分の前に浮上するのだろう。
でも……ご両親、と提案した時はあの反応だったけど、俳優をやっている弟の景斗くんには、おそらくそういう立場で会わせてくれている。会わせてもらえてるし、彼には「姉さん」なんて呼ばれてもいる。今日の観劇予定を伝えた時も嬉しいと言ってくれたし、認められてない、はずない。
でも、いい大人の恋愛はそれだけで喜んでいられるほど甘いものじゃない。
私も今、三十一歳。喧嘩の時に出かかった言葉を呑み込んだ時の、喉が詰まったような感覚がよみがえる。
それを言ったら僕も三十三だけど、なんて言われそうな気がして悔しかった。男と女じゃ感じ方も違うことくらい、理解してほしい。
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