散らぬ期待と提灯花

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ドアの向こうで足音がする度に胸が踊るが、足音の主は自身のいる部屋を素通りしてしまう。 その度にぬか喜びだった事に肩を落とし項垂れる。それを何度も繰り返すが、一向にドアが開く気配はない。 もう帰ってこないんじゃないかという考えが脳裏を過ぎる。幾度目かの吐き気に襲われたが、それは何とか堪えた。 帰ってきた時に嫌な思いをさせたくない。その気持ちだけで何とか乗り切っている。 しかし、もう限界に近いのか身体が震え始めてきた。震えは指先から始まり腕を伝い全身に渡る。 「……ふっ…うぅ…っ」 震えを自覚した途端に涙が溢れた。 嗚咽が止まらない。 どうにか持ち直そうと掌で顔を覆うが、そんな事をした所で何にもならない。 寧ろ声を抑えるものがあるせいで余計止まらなくなってしまった。
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