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鈴蘭とは妹の名前だ。小学四年生で友達がたくさんいる人気者の妹。友達は誰もいなくてその上、顔が地味ってだけで虐められている私とは正反対だ。
「お姉…ちゃん、来てくれたんだ…。ありがとう」
鈴蘭は精一杯、私にお礼を言おうと頑張って言葉を出してくれた。私はそれに答えるように鈴蘭の手を握る。
「大丈夫だよ。きっと助かるよ。だから頑張れ」
私は鈴蘭を応援する。
ガラガラ。
病室の扉が開き、医師がこちらに来た。
「家族みなさんお揃いですね?では、診断結果を報告します。鈴蘭さんは頭を強く打ったらしく脳出血を起こしています。ですが、状態を見る限りもう、手遅れです。死ぬのを待つしかありません」
医師は寂しい目をしながら私達に診断結果を伝えてきた。
「嘘…。まだあの子はさっきも言葉を発していた。脳出血しているなんて嘘ですよね?」
母があり得ないとでも言ってるような焦った口調で医師に問いかける。
「悲しいですが、これが現状です」
「痛たたた…」
「鈴蘭!」
鈴蘭は頭を抱えている。きっと脳出血がひどいのだろう。
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