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「助かる方法はないんですか?」
父さんが医師に問いかける。
「残念ながら、ございません」
医師は悲しい顔で私達に言った。それと同時に鈴蘭は落ち着いたように目を閉じる。
「もう、時間の問題だと思います。どうか、お別れの言葉を贈ってあげてください」
「そ、そんな…。鈴蘭、嫌だよ。死なないでよ」
私は涙を流しながらそう言った。
その瞬間、鈴蘭と過ごした日々が頭の中で次々と蘇ってくる。
勉強でわからないとこがあり私に聞きにきた日。一緒にゲームをして楽しんだ日。
家族の昔話でみんなで笑った日。
連休になる度にお出かけへ行った日々。
そのすべてが切なく思えてくる。
「鈴蘭…今までありがとう。母さん達、鈴蘭と一緒に暮らせてとっても楽しかったよ。もっと一緒に暮らしたかったな」
母は鈴蘭との別れを認めているようで、すでに涙を流しながら別れの言葉を言い始めていた。
「私もだよ。すべての日々が…切ない」
「俺もだ。家族がこんなに早くかけることになるなんて…。信じたくないよ」
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