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『きゃああぁぁぁっ!!!』
『ヘラ、驚かせちゃったかな?』
『ぜっ、ゼウス……さま?』
そのカッコウはなんと、ゼウス様が変身した姿でしたの。
思わずベッドに尻もちを付いたわたくしに、ゼウス様の顔が近づいてきました。
『やっと君の寝所まで入り込めた。ねえ、ヘラ。さっきみたいに僕を君の肌で温めてよ』
『御冗談はおよし下さい。何度も申し上げている通り、わたくし、既に奥様がいる方とはそのような関係を持ちたくありません』
プイッと顔を逸らせると、わたくしのナッツブラウン色の髪の毛をゼウス様がクルクルと指先でもて遊びながら笑っております。
ああ、最高にカッコイイ……。まさにわたくしのタイプど真ん中な顔立ちですわ。少々強引な所もちょぴり良いなんて思ったりして。
『知っているよ。ヘラは僕の事好きなんでしょう? 何もかも忘れてほんの一時、僕に身を預けてしまってはどうだい?』
耳元で囁くゼウス様の甘い言葉に、グラグラと心が揺れました。
一度だけなら……?
いえ、何を言っておりますの!
一度許せば二度、三度と繰り返すに決まってるわ。そして傷付くのは他でも無いゼウス様の妻。
何度も言いますけど、わたくしは結婚と家庭の神ですもの。なんのこれしきの甘い言葉っ!!
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