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おや、これはこれは。珍しいお客様ではありませんか。
ほう、道に迷われてしまったのですね。可哀想に。
こちらへおいでなさい、温かいスープもふわふわのブランケットもございますよ。さあさ、こちらの揺り椅子にお座りください。今暖炉に火をつけますからね。
ええ、ここんとこずっと火をつけていなかったものでして、薪がそれはもうたくさん、余ってしまっているのですよ。ええ、遠慮などなさらずに。どうぞどうぞ。
寒かったでしょう、お外は。わかりますとも、あなた、私が中へ招き入れたときはガチガチだったじゃありませんか。ええ、そりゃあ猛吹雪で風も冷たくって雪も降ってて、寒いったらありゃしません。
ですよねえ、さぞかし寒かったことでしょう。
おや、もういいのですか。ああ、体もだいぶ温まってきたようですね、それはよかった。
ところでお客さん、もしよろしければちょいと聞いていただけませんかね。ええ、私のコレクションについての、とても他愛ないお話でございますよ。
恩着せがましいようですが、これもスープのお礼だと思っていただけると。話し相手がいなくてずっと退屈していたのです。
実はですね、お客さん。この部屋を見ていただければ分かる通り、私は人のお顔を描くことを専門にしている、肖像画家でして。
ですから、自分が今までに手掛けてきた肖像画もたくさん貯蔵しているのです。今から少しばかりお見せしますね──。
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