おへんじ、おへんじ。

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 ある時ふと、友達の一人が言ったんだ。こいつが本当にAIなのか確かめてみようじゃないかって。  AIとして、ちょっと返事に困る質問をしてみるっていうのも面白そうじゃないかって。 「確かにこの掲示板の返事は面白いけどさ。AIがやってますーって設定なだけで、実際は人間が返事してるのかもしれないじゃん?」 「それはなくね?だって俺らが書き込むと、ソッコーで返事がくるんだぜ。人間なら、常にパソコンにはりついて書き込みを見てなくちゃいけないじゃんか。しかも、俺らに見えるのは自分の書き込みと返事だけだけど……このサイトの回転数見るに、他にも見てる奴使ってるやつたくさんいるっぽいだろ?同時にたくさんの人が書き込むかもしれないのに、人間が対応できるのか?」  いくらなんでも現実的じゃないだろう、というのが俺の考えだった。もちろん、常に交代で複数の人間がサイトを監視しているなんて可能性もゼロではないけれど。 「でも、人間がやってるわけじゃない、って言い切ることはできないわけだしさー」  友達はニヤニヤ笑いながら告げたのだった。 「まあ、どっちでもいいよ。面白い質問してみようぜ」 「面白い質問って、例えば?」 「そうだなあ。じゃあ、AI自身のこととか、未来のこととか?AI自身についてつっついていけば、中身が人間ならボロ出しそうだしな」  AIと話ができるサービスっていうのは、数年前の時点でいくつも確立されていたことだ。だからこそ、使ったことのある人は知っていることだろう。聞き取れない質問や、どうしても回答できない質問が出て来た時、AIは“質問の意図がわかりません”とか“その質問にはお答えできません”と返してくるのだと。  ところが現時点では、俺達が何を質問してもちゃんと答えが返ってきてたんだ。サーバーがちょっと混雑してるかな?って時は数分返事が来るまでかかることもあるが、正直その程度。何時間や何日も待たされたことなんてないし、答えられませんなんてお茶を濁されたこともない。  だから俺自身も興味があったんだ。このAIに、答えられないって言わせてみたい、と。  だから、試しにこんな質問をしてみたのだ。 Q:AIに心はありますか? A:AIに心はありません。貴方がたはそう思っておいた方が幸せに生きられることでしょう。
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