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魔法使いや妖精、海賊に映画キャラなどの衣装を着た人たちをときどき見かけた。
「ESSと映画サークルの合同企画で、ハロウィン・パーティーやるんだとさ。南グラウンドでな。
学園祭の一環なんだ。最近は何でもありだよ」
学生時代にそんな企画があったら、無理やり仮装させられて、悠にひっぱっていかれたかもしれない。
「最近のロック研は、映画サークルとの連携やってる?」
哲哉と悠が知り合ったのも、映画のテーマソングの作成を依頼されたことがきっかけだ。
「その辺は学生たちにまかせてるからなあ。哲哉は顔を出してないのか?」
「そうなんだ。卒業して数年も経つと、知り合いもいないし」
後輩たちがどんな活動をしているのか、覗いてみたかった。だが知人もいないところに顔を出すのは気がひける。
どうしたものかと思いながらカフェテリアのそばまでいくと、ギターの弾き語りが聞こえてきた。
流れているのは、オーバー・ザ・レインボウの曲だ。
アコースティックギターを弾きながら歌っているのは、男子二人組だった。
一人が演奏し、一人が歌っている。
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