第二話 懐かしいキャンパスで

2/5

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 魔法使いや妖精、海賊に映画キャラなどの衣装を着た人たちをときどき見かけた。 「ESSと映画サークルの合同企画で、ハロウィン・パーティーやるんだとさ。南グラウンドでな。  学園祭の一環なんだ。最近は何でもありだよ」  学生時代にそんな企画があったら、無理やり仮装させられて、悠にひっぱっていかれたかもしれない。 「最近のロック研は、映画サークルとの連携やってる?」  哲哉と悠が知り合ったのも、映画のテーマソングの作成を依頼されたことがきっかけだ。 「その辺は学生たちにまかせてるからなあ。哲哉は顔を出してないのか?」 「そうなんだ。卒業して数年も経つと、知り合いもいないし」  後輩たちがどんな活動をしているのか、覗いてみたかった。だが知人もいないところに顔を出すのは気がひける。  どうしたものかと思いながらカフェテリアのそばまでいくと、ギターの弾き語りが聞こえてきた。  流れているのは、オーバー・ザ・レインボウの曲だ。  アコースティックギターを弾きながら歌っているのは、男子二人組だった。  一人が演奏し、一人が歌っている。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加