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自分の作った曲を目の前で演奏されて、哲哉は気恥ずかしいような、それでいて誇らしげな気持ちになっていた。
学園祭にむけて、CMをかねたゲリラライブをしているのだろう。
二人は本当に楽しそうだ。演奏することも楽しければ、聞いてもらうことも楽しい。
アマチュア時代の自分も、あんなふうに音楽を楽しんでいた。
もちろん今だって、曲を作ることも歌うことも楽しい。
でも疑問を感じることもある。
スケジュールにあわせて無理やりひねり出す曲作りが、本当に楽しいだろうか。
自分の求める世界と、ファンの聴きたいものはあっているだろうか。
作りたいものをおさえ、うけそうなものに走ってはいないか。
わいてくるネガティブな考えにとりつかれ、ここ半月はアイディアも浮かんでいなかった。
そんなとき悠からハロウィン・パーティーのことを聞かされ、気分転換になればいいなと引き受けた。
期待どおりの結果が得られる保証はないが。
哲哉は観衆の輪に加わり、後輩の演奏に耳を傾けた。この曲はファーストアルバムに入っている。
哲哉たちも、昔はしょっちゅうゲリラライブをしていた。
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