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閑話② 王家の影
クリスティーナは王宮のエントランス部分を抜け、さらにその奥にある書庫室へと向かおうとしていた。
「クリスティーナ様」
「リュディーね、中で話しましょうか」
彼女は書庫室に彼を招き入れると、リュディーは恭しく膝をついて彼女に挨拶をする。
「今日はカフェの日でしょ?」
「ええ」
「何かいいことでもあった?」
「え?」
シルバーの長髪の隙間から見える綺麗な瞳は、クリスティーナを映し出すのもおこがましいと言ったように逸らしていたが、彼女の言葉に思わず目を向ける。
その端正な顔は少し考えた様子で一定の時間止まり、そしてそっと話し始めた。
「レオンハルトが来ました」
「あら、珍しいじゃない」
「それと、コルネ……奥様も……」
よほど嬉しかっただろうか、クリスティーナにしかわからないほどに少し微笑んでそして声色もかなり優しい。
コーヒーが好きな彼だから、もしかしたらコルネリアもそのコーヒーを気に入ったのかもしれない。
「仲良くなれそう?」
「……はい。非常に良い方だと思います」
クリスティーナはずっと跪きながら報告をしている彼の頭を優しくなでる。
その行動に驚きを隠せずに、思わず目を丸くしながら彼女を見上げた。
「仲良くなれそうならよかったわ、レオンハルトのこと、それからコルネリアのこと、よろしくね」
「かしこまりました」
もちろん王族の影として、公爵位にある彼とその妻を守ってほしいという意味もあるが、それ以前にずっと王家の影として任務を続けてきた彼に少しでも安らぎの場所があってほしい。
クリスティーナはそんな風に思っていた──
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