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しかし、ある夏の雨の激しく降る夜、彼女は交通事故で突然に亡くなってしまった。
カーブでセンターラインをはみ出してきた大型トラックと彼女のミニバンが正面衝突したのであった。26歳の若さであった。
一人の人間が、26年もの間、想い考える長い時間があったというのに、死は一瞬であるという儚さを知った。
彼女は天国?それとも本当に宇宙のどこかへ行ってしまったのだろうか。あの音楽の才能と共に。
※
今日は、ナオミの一周忌である。じっとしていても汗ばむ、日差しの強い昼下がりだ。
霊園には、僕の他に誰もいない。
ヒグラシの鳴き声だけが聴こえる。なぜかそれが孤独と悲しさを一層増長する。
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