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空高くにトビが舞う。世界は何も変わらない。僕の心の中だけが空っぽなままだ。
晴天なのに、遠くで雷鳴が聴こえてきた。
いつしかヒグラシの鳴く声は止み、少し風が出てきた。雨雲が近づいてきているのだろうか。
今、ザッと一雨来れば大きな虹が架かるだろう。そうしたら、空のかなたにいる彼女と一緒に見ることができるのだろうか。
彼女の手が包んだ地球には、虹が見えるはずだ。彼女の指に七色のリングがかかったように。
いや、科学的には無理だろう。上空から虹は見られまい、同じ視点に立たないと。なぜか、そんなことだけは冷静に考えてしまう自分がいた。
でも、雨よ降れ。
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